認知症発患者の資産が巨大になっている。どうすれば・・・

2030年には認知症患者の保有する金融資産が215兆円に達するらしい(日経2018.08.26)。今現在でも140兆円を超えているようだ。認知症と診断されれば、預金の引き出しは困難に、ましてや資産運用などほぼ不可能になる。ご本人だけでなく、看護をされるご家族にも不便この上ない状況になる。後見人制度を利用するにしても、資産があれば後見人に弁護士や司法書士など専門家が就任し、費用が発生する。専門家とはいえ、見知らぬ人に財産を預けることになる不安はぬぐえない。費用が掛からない市民後見人でも同様であろう。利用件数は伸びている者の、まだ一部に限ら得る。自由度が高く、ご家族や親族に資産管理を任せる「家族信託」もあるが、制度ができて10年が経過するにもかかわらず、まだ認知度も低く十分に機能していない。
その原因は何にあるのでしょう。法定後見人制度は認知症患者が利用する制度のため、もともと資産運用などは困難です。任意後見制度や「家族信託」などはご本人がご健康なうちに契約を結ぶことが必要です。健康なうちに認知症になった後のことを決めなければいけない、この事が制度がうまく機能しない要因だと考えられます。
ご家族と ”私が認知症になった時のために、私の資産をどのように活用するか決めておきたい” と家族会議ができるご家族がどれくらいあるでしょうか。健康であればいつまでも健康であると思い、健康維持のためのスポーツに汗を流し、旅行を楽しんだり、それが続くものと思っている人が大半ではないでしょうか。筆者もその一人かもしれない。”将来何があるかわからない”とよく言われるが、そのことを真剣に考えている人がどれくらいいるのだろう。私もそろそろ覚悟を決めて、”資産はないけど家族会議をやろう” と話してみるか。